2018/05/03

借金にも時効があります。ただし、援用する必要があります。

 

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石川宗徳
埼玉県をこよなく愛する司法書士・相続診断士。汐留司法書士事務所代表。一般社団法人さいたま幸せ相続相談センター相談員。
得意分野は会社法と相続。会社の相続もご相談ください。
趣味はフットサル(走れない)と将棋(弱い)
好きな食べ物は牡蠣とワッフル(セブン&アイ)
東武動物公園に稀に出没する。
詳しいプロフィールはこちら

亡くなった人(被相続人といいます)に借金があることが分かりました。しかし、最後に返済をしてから7年くらい経過しています。

この借金を相続人は返済する必要があるのでしょうか。

このページでは、借金に対する時効とその援用について紹介しています。

借金と消滅時効

お金を借りたら返さなければなりません。お金を返す約束で借りているのでそれは当然です。

しかし、一定の条件を満たしているときは、返済義務が消滅しているときがあります。

その中の一つに、消滅時効というものがあります。

 

消滅時効とは

借金は一定期間返済をしていない場合は、消滅するとされています。

後述はしておりますが、誤解を招かないようにここにも記載をしておくと、一定期間返済していないというだけでは消滅しません

個人間の貸し借り

個人間の貸し借りでは、時効が完成するまでの期間(消滅時効期間といいます)は10年間です(民法第167条1項)。

消滅時効期間のスタートは、返済期限の到来時点です。返済期限が到来していない時点では、消滅時効期間は進行しません。

(債権等の消滅時効)
民法第167条1項

債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

 

クレジットカード

クレジットカードを利用した借入の消滅時効期間は5年間です(商法第522号)。

キャッシング、ショッピングのどちらの利用でも消滅時効期間は同じです。

(商事消滅時効)
商法第522条

商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

 

消費者金融、銀行

消費者金融や銀行からの借金も、クレジットカードによる借入と同様に、消滅時効期間は5年間です。

 

消滅時効の援用

消滅時効は、消滅時効期間が経過すればその効果が確定するのではなく、時効を援用することによってその効果が確定的に生じるとされています。

そのため、消滅時効期間が経過していても、クレジットカード会社や消費者金融は借金の請求をしてくることがあります。

時効の援用とは、相手方に対して、消滅時効を援用する旨を伝えることをいいます。

時効の援用は内容証明で

時効の援用は法律上決まった形式がありませんので、口頭で行うこともできます。

しかし、後で言った言わないの争いにならないよう、配達証明付の内容証明郵便で行うことをお勧めします。

 

消滅時効と時効の中断

借金は、5年間あるいは10年間支払わなければ必ず消滅時効が成立するわけではありません。

次の事項が生じていると、時効が中断して、消滅時効期間が改めて最初からスタートすることになります(民法第147条)。

(時効の中断事由)
民法第147条

時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一  請求
二  差押え、仮差押え又は仮処分
三  承認

 

請求

請求とは、債権者(貸主)が裁判支払督促によって返済の請求をすることをいいます。

消滅時効についてご相談をいただいた方には、5年間の消滅時効が経過しているので消滅時効を援用したところ、実は4年6ヶ月を経過した時点で裁判所からの通知が来ていたが無視していた、ということがあります。

なお、裁判等によって債権(お金を返してという権利)が確定したときは、クレジットカードによる借入(消滅時効期間:5年間)でも、その消滅時効期間は10年間となります。

差押え、仮差押え又は仮処分

借金を返済していないことを原因として、差押え等をされたときは時効が中断します。

承認

承認とは、借主が貸主に対して借金の存在を認めるような行為をいいます。

例えば、(1円でも)借金の一部を返済することや、「1週間後の給料日に支払いますから」と伝えてしまうことは、承認に該当します。

消滅時効期間経過後の承認

消滅時効期間が経過した後でも、承認をしてしまうと以降、消滅時効の援用をすることができなくなってしまいます。

さらに消滅時効期間が経過しているということは、その期間分の遅延損害金も発生しています。

(長い期間返済をしていない借金の)債権者から返済の請求があったときは、その場で安易に承認をせずに時効の可能性を検討する価値はあります。

 

時効の援用と相続放棄

被相続人から借金を相続したが、その借金は消滅時効期間が経過しているというケースがあります。

この場合、もちろん相続人から当該債権に対する時効の援用をすることができます。

なお、時効の援用は、被相続人の債務を承継したうえでの話となりますので、単純承認に該当する行為であるとも考えられます(明確な規定はありません)。

単純承認に該当する場合は、以降相続放棄をすることができなくなりますので、時効の援用をするときは注意が必要です。

 

借金と過払い金

平成18年以前から、消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用している人には過払い金が発生している可能性があります。
(銀行からの借入や、ショッピング利用の借入には過払い金がありません。)

過払い金とは、必要以上に利息を払い過ぎている場合のその払い過ぎた利息等のことをいいます。

過払い金が存在するときは、請求されている金額を減額することができたり、あるいは払い過ぎた分を相手に請求することができることがあります。

 

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埼玉県をこよなく愛する司法書士・相続診断士。汐留司法書士事務所代表。一般社団法人さいたま幸せ相続相談センター相談員。
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